いつの間にか、足があの店の方へ向いていた。友人から教えられた小さなバーであるが、居心地のいい店だし、その不思議な魅力に取り付かれてしまったような気がする。
しかし今日は、一日気乗りがしない日だった。仕事では失敗するし、付き合ってる彼女からは、待ってても連絡はないし、踏んだり蹴ったりである。BARに寄って帰るとだけメールを送った。返信を待ちながら歩いていたがBARにつくまでの間、着信音は聞こえなかった。
さてと、着いた事だし、気持ちを入れ替えて、この古びた重い扉を開けましょう。
『いらっしゃいませ!』
「こんばんわ!この前はどうも!」
『いえいえ、お好きなところにどうぞ。』
「ママは、また猫の世話ですか?今日は会えると思ったのになぁ…。」
『もうすぐ、下りてきますよ。さっきまでバタバタしてて、洗い物も溜まってるからね。』
「へぇ、忙しかったんだぁ?」
『ところで、今日は、何にしましょうか?』
「マスターね…、なんか嫌な事を忘れさせるような酒が飲みたいなぁ…。」
『どうしたんですか?』
「いやなことばかりですよ、この世の中は…。」
『シャンパンでも開けましょうか?幸せな気分にしてくれますよ!』
「シャンパンか…。そう言えば、この店を見つけたことと、マスターに出会えたこと。そして、ママに会えることを祝って乾杯といきますか…。マスターも一緒に飲みましょう。あっ、ママにもね。」
『ありがとうございます。いただきます。』
このバーは、2階が住居になっている。ママは、猫好きらしく、その世話で忙しそうだ。今日の本題は、ママの登場である。期待を胸に待つことにしましょう。
『はい、どうぞ!』と背の高いグラスに、注がれた黄金色のシャンパンが三つ用意され、一つは僕の前の白いコースターの上に静かに置かれた。
シャンパンのこの立ち上る細かい泡を見ていると、ホントに嫌な事を忘れさせてくれるような気がする。
『下りてきましたよ。紹介しますね。猫好きの家内です!』とマスターの声がした。その隣にママが笑顔で立っていた。
「あぁ、どうもはじめまして!」
『いらっしゃいませ!』
やっと、ママ登場である。細身の身体で、なかなかの美人である。それにマスターとは違って若々しく見える。この店はきっと、ママでもっているに違いない!
『では、乾杯と行きましょうか。』
「乾杯!よろしく!」とマスターと僕の声に続いて小さい声がした。
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
と三人でグラスを合わせ、透き通るような金属音がメロディーのように響いた。
「うん、美味いね。シャンパンは・・・。」
『ホントですね。久しぶりにいただきました。』とママから声が聞こえた。
そして、シャンパンを半分ほど味わったあと、ママに声をかけた。
「ママは、猫が好きなんですね?」
『そうね。マスターも好きなんですよ…。』のママの声の後に続いて、マスターから声が帰ってきた。
『この店の“招き猫”なんです。』
「招き猫ですか?それで、今日は忙しかったんですね。」
『まぁ・・・、そうですね。』
「ところで、マスター!素敵なママじゃないですか!」と言って、残りのシャンパンを飲み干した。
『はい。ありがとうございます。』
「今日は、美味しいシャンパンが飲めて、素敵なママにも会えて、ほんと、嫌な事もすっかり忘れましたよ。そして、ここに来る楽しみがまた一つ増えました。明日から、また頑張ります!」
『頑張って下さい。』と優しい声が聞こえた。そして、少し間をおいて、ママからまた声が聞こえた。
『彼女さんと仲直りして下さいね…。』
「はっ、はい…。ど、どうして、それを・・・。」
路地裏の小さなバーは、マスターとママと黒猫が一匹いる不思議なお店である。マスターのお酒のチョイスといい、癒されるママの容姿と声…。
この街に来てよかったと感じている。これから、色んな出会いや物語が始まりそうだ。
しかし今日は、一日気乗りがしない日だった。仕事では失敗するし、付き合ってる彼女からは、待ってても連絡はないし、踏んだり蹴ったりである。BARに寄って帰るとだけメールを送った。返信を待ちながら歩いていたがBARにつくまでの間、着信音は聞こえなかった。
さてと、着いた事だし、気持ちを入れ替えて、この古びた重い扉を開けましょう。
『いらっしゃいませ!』
「こんばんわ!この前はどうも!」
『いえいえ、お好きなところにどうぞ。』
「ママは、また猫の世話ですか?今日は会えると思ったのになぁ…。」
『もうすぐ、下りてきますよ。さっきまでバタバタしてて、洗い物も溜まってるからね。』
「へぇ、忙しかったんだぁ?」
『ところで、今日は、何にしましょうか?』
「マスターね…、なんか嫌な事を忘れさせるような酒が飲みたいなぁ…。」
『どうしたんですか?』
「いやなことばかりですよ、この世の中は…。」
『シャンパンでも開けましょうか?幸せな気分にしてくれますよ!』
「シャンパンか…。そう言えば、この店を見つけたことと、マスターに出会えたこと。そして、ママに会えることを祝って乾杯といきますか…。マスターも一緒に飲みましょう。あっ、ママにもね。」
『ありがとうございます。いただきます。』
このバーは、2階が住居になっている。ママは、猫好きらしく、その世話で忙しそうだ。今日の本題は、ママの登場である。期待を胸に待つことにしましょう。
『はい、どうぞ!』と背の高いグラスに、注がれた黄金色のシャンパンが三つ用意され、一つは僕の前の白いコースターの上に静かに置かれた。
シャンパンのこの立ち上る細かい泡を見ていると、ホントに嫌な事を忘れさせてくれるような気がする。
『下りてきましたよ。紹介しますね。猫好きの家内です!』とマスターの声がした。その隣にママが笑顔で立っていた。
「あぁ、どうもはじめまして!」
『いらっしゃいませ!』
やっと、ママ登場である。細身の身体で、なかなかの美人である。それにマスターとは違って若々しく見える。この店はきっと、ママでもっているに違いない!
『では、乾杯と行きましょうか。』
「乾杯!よろしく!」とマスターと僕の声に続いて小さい声がした。
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
と三人でグラスを合わせ、透き通るような金属音がメロディーのように響いた。
「うん、美味いね。シャンパンは・・・。」
『ホントですね。久しぶりにいただきました。』とママから声が聞こえた。
そして、シャンパンを半分ほど味わったあと、ママに声をかけた。
「ママは、猫が好きなんですね?」
『そうね。マスターも好きなんですよ…。』のママの声の後に続いて、マスターから声が帰ってきた。
『この店の“招き猫”なんです。』
「招き猫ですか?それで、今日は忙しかったんですね。」
『まぁ・・・、そうですね。』
「ところで、マスター!素敵なママじゃないですか!」と言って、残りのシャンパンを飲み干した。
『はい。ありがとうございます。』
「今日は、美味しいシャンパンが飲めて、素敵なママにも会えて、ほんと、嫌な事もすっかり忘れましたよ。そして、ここに来る楽しみがまた一つ増えました。明日から、また頑張ります!」
『頑張って下さい。』と優しい声が聞こえた。そして、少し間をおいて、ママからまた声が聞こえた。
『彼女さんと仲直りして下さいね…。』
「はっ、はい…。ど、どうして、それを・・・。」
路地裏の小さなバーは、マスターとママと黒猫が一匹いる不思議なお店である。マスターのお酒のチョイスといい、癒されるママの容姿と声…。
この街に来てよかったと感じている。これから、色んな出会いや物語が始まりそうだ。