今年の6月で今の場所に移転して3年が経った、早いものである。
"酒を愛する""BARを愛する"たくさんのお客様に支えられていることに、新ためて感謝の気持ちでいっぱいである。
あっと言う間に過ぎてきた14年間、バーテンダーとして洋酒やカクテルを提供しお客様のお相手をしていると、よく男性のお客様から"お願い"されることがある。 それは、お連れの彼女にお出しするカクテルに対してのことで、"ホロッとするカクテル""その気になるカクテル"を作ってくれと言われることである。
さてさて、時計はちょうど9時を回ったところである。カウンターにはカップルがひと組といつもの常連さんがお一人、いつもの席でシングルモルトウイスキーを飲んでいらっしゃいます。
今日はアードベッグ10年(アイラ島産のウイスキー)をストレートである。
最初のグラスはすぐに空になリ、二杯目を注ぎ終え、それと同時に「たまには、彼女と一緒にどうですか?」と勇気を出して聞いてみた。
『え一!?自分の聖域を荒らされたくないげどなー…』(よく言われることです。)
「いいんじゃないですか一度は!」
『うん。その時は、マスターに任せるから、色の綺麗なおいしいカクテルを出してあげてよ』
「はい!お任せ下さい!」と答えた。
もうひと組のお客様の方へ目を向けると、なにやら私の方へ合図を送ってらっしゃるようで、「お代わリですか?」とお聞きすると『同じウイスキーをもう一杯、それと、カクテルも…』と間を取リながら注文された。(最初も同じように間を取りながらであった。) 男性には、竹鶴12年(ニッカのピュアモルトウイスキーです。)のオンザロック。女性にはカンパリベースのスプモー二をお作リし、二人の前にお出しした。
5年ぐらい前からだったと思う。たまにお見えになるようになった方である。
2ヶ月ほど前に来られた時は『今度、彼女を連れて来るから、"その気になるカクテル"を作ってくれよ!たのむよ!』と言われていた。
そして、合図まで決めていたのだ。右の耳たぷを触ると"弱いカクテル"左の耳たぶを触ると"その気になるカクテル"をお出しすると言うものだった。
本当にサインがでたのは初めてであった。
見ていると面白い、野球の監督がバッターに送るサインみたいである。
私に"バンド"でもしろと言ってるみたいで…。 でも、今日は最初から、サインは右耳だけだった。間を取リながら注文するさいに、右の耳たぶを何回も触リながらであった。
『マスター、紹介しとくよ』とその男性から声がした。
「はい」
『ぽくの家内だよ』
「そうですか。いつもお世話になっておリます。」 なるほど、だから右耳だけだったんだ。
『今日はこれで失礼するから』
「はい。あリがとうございます。」
『今度は…』と言いかけ、左耳を触りながらドアの向こうへ消えていった。
カウンターの角の常連さんは、すでにグラスが空になっていた。
「もうー杯どうですか?」と聞くと、『同じの』の後に『いいこと思いついたよ!』と笑みを浮かべながら返ってきた。
「どう言うことですか?」と聞きながら、アードベッグをグラスに注いだ。
『合図を決めよう!』
「あなたもですか!で、どうゆう合図ですか?」
『ぽくが右手でグラスを持ったら弱いやつで…』
「分かリましたよ!左手だとその気になるやつでしょ!」
『そうそう、話しが早いねェ』
「でも、それは、やめた方がいい」
『どうして?』
「彼女の手をずっと握っていると片手しか使えないでしょ!」
『そっかァ。…』
"酒を愛する""BARを愛する"たくさんのお客様に支えられていることに、新ためて感謝の気持ちでいっぱいである。
あっと言う間に過ぎてきた14年間、バーテンダーとして洋酒やカクテルを提供しお客様のお相手をしていると、よく男性のお客様から"お願い"されることがある。 それは、お連れの彼女にお出しするカクテルに対してのことで、"ホロッとするカクテル""その気になるカクテル"を作ってくれと言われることである。
さてさて、時計はちょうど9時を回ったところである。カウンターにはカップルがひと組といつもの常連さんがお一人、いつもの席でシングルモルトウイスキーを飲んでいらっしゃいます。
今日はアードベッグ10年(アイラ島産のウイスキー)をストレートである。
最初のグラスはすぐに空になリ、二杯目を注ぎ終え、それと同時に「たまには、彼女と一緒にどうですか?」と勇気を出して聞いてみた。
『え一!?自分の聖域を荒らされたくないげどなー…』(よく言われることです。)
「いいんじゃないですか一度は!」
『うん。その時は、マスターに任せるから、色の綺麗なおいしいカクテルを出してあげてよ』
「はい!お任せ下さい!」と答えた。
もうひと組のお客様の方へ目を向けると、なにやら私の方へ合図を送ってらっしゃるようで、「お代わリですか?」とお聞きすると『同じウイスキーをもう一杯、それと、カクテルも…』と間を取リながら注文された。(最初も同じように間を取りながらであった。) 男性には、竹鶴12年(ニッカのピュアモルトウイスキーです。)のオンザロック。女性にはカンパリベースのスプモー二をお作リし、二人の前にお出しした。
5年ぐらい前からだったと思う。たまにお見えになるようになった方である。
2ヶ月ほど前に来られた時は『今度、彼女を連れて来るから、"その気になるカクテル"を作ってくれよ!たのむよ!』と言われていた。
そして、合図まで決めていたのだ。右の耳たぷを触ると"弱いカクテル"左の耳たぶを触ると"その気になるカクテル"をお出しすると言うものだった。
本当にサインがでたのは初めてであった。
見ていると面白い、野球の監督がバッターに送るサインみたいである。
私に"バンド"でもしろと言ってるみたいで…。 でも、今日は最初から、サインは右耳だけだった。間を取リながら注文するさいに、右の耳たぶを何回も触リながらであった。
『マスター、紹介しとくよ』とその男性から声がした。
「はい」
『ぽくの家内だよ』
「そうですか。いつもお世話になっておリます。」 なるほど、だから右耳だけだったんだ。
『今日はこれで失礼するから』
「はい。あリがとうございます。」
『今度は…』と言いかけ、左耳を触りながらドアの向こうへ消えていった。
カウンターの角の常連さんは、すでにグラスが空になっていた。
「もうー杯どうですか?」と聞くと、『同じの』の後に『いいこと思いついたよ!』と笑みを浮かべながら返ってきた。
「どう言うことですか?」と聞きながら、アードベッグをグラスに注いだ。
『合図を決めよう!』
「あなたもですか!で、どうゆう合図ですか?」
『ぽくが右手でグラスを持ったら弱いやつで…』
「分かリましたよ!左手だとその気になるやつでしょ!」
『そうそう、話しが早いねェ』
「でも、それは、やめた方がいい」
『どうして?』
「彼女の手をずっと握っていると片手しか使えないでしょ!」
『そっかァ。…』