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ラ・ビ・アン・ローズ(バラ色の人生)“4月号ぷらざ”

ラビアンローズ写真.jpg
扉の開く音に、条件反射のごとく、入り口の方に身体を向けた。
『いらっしゃいませ!』と、いつものようにお客様を迎え入れた。
「マスター!久しぶりだね。」
『ほんと、久しぶりですね。今日は、奥様も一緒で…。』
「やっと子供も手が離れてね。また、一緒に飲みに出れるようになったよ。」
『そうですか。それはそれは…。』

そうそう、このお客様は、この店で出会って最初に結婚されたカップルである。
今から15年ほど前だろうか・・・。

「マスター、実は明日、お見合いなんだよ!」とカウンターの真ん中に座り、いつものように最後の“ギムレット”を一口飲んで、そう話しかけられた。
『そうなんですか?』と私が言葉を返した時、扉が開き二人の女性が入ってきた。

『いらっしゃいませ!どうぞ、こちらへ。』と、ちょうど2つ空いているその男性の隣の席へ案内した。
『何になさいますか?』
「私は“スプモーニ”。彼女には、幸せになれるカクテルを創ってあげて下さい。」
『幸せに…。ですね。』
「はい。彼女、明日お見合いなんですよ!」
『お客様もですか?』と声をかけたのと同時に、隣の男性からも声がした。

「ぼ、僕も、明日お見合いなんですよ。」
「私と一緒ですね!お互い幸せになれたらいいですね。」

と、あの時の光景が鮮明によみがえる。

「この店には思い出ができたわね。」と奥様から声がし、ご主人もうなずきながら答えた。
「たまたま隣に座った人が、お見合いの相手だったなんて、すごいよね。」
『そうですよ。当店での最初のカップル誕生でしたからね。』
『今日のお飲み物は、私がお選びしましょう!あの日の思い出のカクテルはいかがですか?』

冷凍庫からジンを出し、バック棚からキリュッシュ(サクランボのリキュール)を取り出した。そして、レモンジュースにグレナデンシロップを加えてシェイクする。
店内に流れるJAZZのBGMにのせて、透き通るようなシェイキングの金属音が響きわたり、コースターの上には、レッドチェリーが1つ入れられたカクテルグラスが出来上がるのを待っている。

『お待たせしました。“ラ・ビ・アン・ローズ(バラ色の人生)”です。』
「そう!このカクテルでしたね・・・。」

しばらくの間、思い出話に花が咲いた。

シェーカーとグラスを洗い、充分に水分をふき取り、仕上げにもう一回、丁寧に磨き上げる。今日のこの空気はいい感じである。
そういえば、いつもの常連さんの姿がない。まぁ、そのうちお見えになるでしょう。
でも、今日のこの空気にはね・・・。と考えていた時に、ご主人から声がした。
「マスター、今日はいい記念日になったよ。これから、また寄らせてもらうよ。」
『お待ちしております。』と言葉を交わしながら、見送った。

扉が閉まり終えようとした時に、いつもの常連さんが浮かない顔をして入って来た。

『いらっしゃい!どうしたの?暗い顔して・・・。』
「お見合いがダメでさ・・・。」
『お見合いですか・・・。』
「一週間前にね・・・。今日、返事が来てさ・・・。」
『それは、お気の毒に・・・。』
「なんかさぁ。お見合いがうまくいくカクテルとかないの!」
「“バラ色の人生”になれるようなさぁ・・・。」
『ぴったりのがありますよ。はい、どうぞ!』
「何?これ!」
『いつもの、ウイスキーのソーダ割りです。』
「えぇ・・・。」
この記事へのコメント
みやび さん
早速の書き込みありがとうございます。それと、ご来店ありがとうございました。

別の効き目のある物を考えないといけないですね。。。
Posted by 店主 at 2008年06月16日 23:04
昨夜は閉店時間を過ぎていたことも知らず…失礼しましたm(__)m
でも、お会いできてよかったです。
『ラ・ビアン・ローズ』私もいただきましたよね。飲み物でなくマグネット。バラの数の意味も教えていただきました。
しかし、私の幸せになるカクテルは『スプモーニ』を作っていただきそれからずっと一杯目はお決まりになってますが、薄いのでしょうか?効き目がないようです。
Posted by みやび at 2008年06月15日 17:05
>天どこ店長様

ん!?妖艶な・・・

それってワンレンに白い和服姿の・・・
やや影の薄い女性では・・・・(~_~;)
ちなみに他の方には見えない系の・・・(・_・;)

なんてコメントで遊んでしまいました(^_^;)
YAMASAKI様 ごめんなさい<(_ _)>

Posted by 「展覧会の絵」 at 2008年05月17日 14:04
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